『英文法を一通り勉強したのに英文が読めるようにならない!』
『もっと早く正確に英文を読めるようになりたい』
読者の皆さまの中には、このような悩みを持っている方も多いのではないでしょうか?
この記事では基本的な英文法を学習中あるいは学習したことを前提に、『読むための文法と構文の取り方』について記載していきたいと思います。
このように聞くと勉強されている方は、いわゆるパラグラフリーディングといった、論理の流れを重視して読んでいくことをイメージするかもしれません。これは『読解』の技術であり、今回記事で取り扱う内容とは異なります。
『読むための文法』では、品詞や個々の文法事項の性質に基づき形成された句・節が文中でどのような働きを持つのか、そして文中に存在する因果関係について一歩踏み込んだ切り口で書いていきたいと思います。
非常にシンプルな内容ですが、この方法を修得すると、英文を
・早く理解できる
・正しく理解できる
・深く理解できる
ようになります。新形式TOEIC LRのリーディングで20分以上余らせて全問正解している私が普段、英文を読むときに行っている英文構造の分解の仕方でもあります。
この記事では基礎的な文法用語は特に断りなく用いますが、なるべくかみ砕いて説明していきたいと思います。
英文法は英語学習で最も重要な分野である
本ブログは『仕事で通用する英語力を身に付ける』『英語で行った仕事に責任を持てるようになる』ということを目標の1つにしています。そのため、『日常会話で通じればOK!』『文法学習なんて意味がない』というスタンスは一切取りません。
英語で仕事をするビジネスパーソンや専門職においては、あまりにも拙い英語力だと基本的に相手にされません。コミュニケーションに難のある相手とはまともな交渉や話し合いができず、類推に頼ることで大きな誤解や致命的なミスをする可能性があるからです。かつ相手に一目置かれるためには交渉である程度レベルの高い提案をし、雑談の中で出てくる時事問題などにもある程度ついていける必要があります。基礎教養や語彙も大切ですが、それらをアウトプットする骨組みである文法力が非常に重要になってきます。
そのため、私は一貫して『文法が最も大切』というスタンスを取っています。ルールを知らないスポーツはプレーできないのと同じで、文法を理解できていない言語は読めない・聞けない・書けない・話せないのは当然です。延々と文法だけやっていてもダメなのは言うまでもありませんが、よく言う英語4技能の中に文法を軽視してよいものは1つもありません。
基礎文法は必ず1通りやること
英語を仕事で使いたい(+語学力を武器に職場で活躍したい)ならば、どこかで文法事項を一通り網羅的に学習する必要があると考えます。しかし多くの人が『文法をやろう!』と聞くと顔をしかめます。確かに文法規則を覚えること、細かい例外、分厚い文法書・・・確かに文法学習を嫌いになってします理由は事欠かないと思います。
しかしながらそれでもなお、文法を大切にしてほしい!というのが私の考えです。語彙と文法を用いて無意識的に文を組み立てて音声化する、この作業を日本人であれば日本語を話すときに行っています。英語で同じことをやるならば、文法はしっかり押さえておかなければなりません。楽な方向に流されず、是非一度向き合ってみてください。実際にTOEICのスコアが上がったり、問題集の正答率が上がったりしてくるとパズルを解く感覚に近くなり楽しくなってくると思います。
文法書お勧め3選
網羅的な学習書としては何かを1冊仕上げるのが基本です。読み終わった後も常に手元においておき、困った時に参照できるようにしておきましょう。
総合英語Evergreen(旧総合英語Forest)(いいずな書店)
有名な文法書Forestですが、出版社が変わりEvergreenと名前が変わりました。非常に読みやすく、分厚いですがサクサク進みます。この1冊をマスターすると基本的に文法知識で困ることは殆どないと思います。
ジーニアス総合英語(大修館書店)
2017年発売で、私が初めて手に取ったのが2019年だったと思うので比較的新しい印象です。コンパクトにまとまっており、ポイントの押さえ方も適切です。上記のEvergreenと同系統なので中身を見比べて買う方がよいと思います。
表現のための実践ロイヤル英文法(旺文社)
本格的な文法の本で、有名なロイヤル英文法の姉妹書にあたります。本家よりアウトプットによりフォーカスした内容になっています。説明文/例文ともに見事な作りで、特に本気でやりたい人におすすめです。説明の文体が固く、イラストや図表も上記2冊よりはるかに少ないので読み進めるのに時間がかかるかもしれません。
この他に、FACTBOOKも有名で評判がよいですが、持っていないので書店で目を通した程度なので細かい書評はできません。これも図が多めでEvergreenと同系統なので自分がしっくりくるものを選ぶことをお勧めします。私は高校時代総合英語Forestを使っていたのでEvergreen贔屓ですが、どれを選ぶかよりちゃんとマスターすることが大切なのでこれと決めたら信じて取り組みましょう。
また、大学受験用の文法問題集(ネクステージなど)は基礎の確認に適していると思います。さらに翻訳者や英語講師を目指すのであれば『現代英文法講義』(開拓社)なども優れた文法書なのでお勧めです。
品詞分解を練習しよう
まずは文法書に記載されている通りの品詞に分けていきます。
Ken studies English.
を、Ken=(固有)名詞、studies=他動詞、English=名詞とわけます。その他に関係代名詞・副詞・形容詞・分詞・動名詞・接続詞などたくさんありますね。
構文の最も基礎的なところです。その単語が名詞なのか動詞なのか、区別できる基礎力をまず身に付けましょう。
また文型に注目するならばKen=主語、studies=述語動詞、English=目的語と考えることも可能です。その他に補語などがありますね。
品詞に分けることと同様、構文を取るための根幹となるところです。苦手な人は文法を復習しておきましょう。
句・節の『機能』に注目する
品詞ではなく、品詞(=単語)の組み合わせがどのような機能を持つのかに注目します。
文構造上の機能に着目し5つに分類する
文中での機能に着目するのであれば、文法書で20章以上にわたって取り扱われている事項は、たった5(6)つに集約できます。すなわち、
・名詞
・動詞
・副詞
・形容詞
・接続詞
英文の幹をつくる名詞と動詞、それらを修飾する形容詞と副詞、そして接続詞といった感じです。この他にも感嘆詞もありますが、あまり見ないので基本はこの5つでよいと思います。どういうことか例文を用いて紹介していきます。
After the two world wars, European countries were fed up with the continuous hostility between their neighboring countries.
品詞で分けると、After: 前置詞、the: 冠詞・・・のようになります。前述の通り重要なことですが、ここでは以下のように考えます。
After the two world wars=副詞
European countries=名詞
were fed up with=動詞
the continuous hostility between their neighboring countries=名詞
文の中でどのような機能を持っているかに基づいて、句/節単位で上記の5つに分けます。このように捉えることができれば英文の中の『係り受け』を整理することができるようになり、構文を取ることができるようになります。
このやり方は複数の分け方ができます。たとえば、
That is a house whose roof is yellow.
という英文であれば、
a house whose roof is yellow=名詞
としてもいいですし、
a house =名詞
whose roof is yellow=形容詞
としても問題ありません。
文法事項に基づき句・節単位で名詞/動詞/形容詞/副詞/接続詞のどの機能を有しているのかを見分けられることが重要です。
意味上の機能に分類する(やや難)
これから紹介する内容は、少し難しい内容です。読んでみてconfusingに感じたならば一旦忘れてください。
以下の例文を用いて説明していきます。
It is often pointed out that science and technology allow students to obtain various kinds of information very quickly.
皆さんはどのように構文を取りますか?
It is often pointed out =主語+動詞の主節
[that science and technology allow students to obtain various kinds of information very quickly].
と分けてscience and technology=that節の主語・・・のように構文を取っていくでしょうか。それでも全く問題ありません。むしろ厳密に英文法の規則に従った正しいやり方だと思います。
しかしこと読むときに関しては、私は以下のように考えます。
It is often pointed out that —=副詞
science and technology=副詞
students=名詞(主語)
obtain=動詞(述語)
various kinds of information=名詞(目的語)
very quickly=副詞
先程のように英文構造を名詞・動詞・形容詞・副詞・接続詞を原則5つにわけて考えるのは同じですが、ここに因果関係と意味上の主語/動詞という概念が加わります。
この辺をもう少し深堀りしましょう。
allow, enableなどのV+O+to doや、使役動詞have O do, make O doは「主語が原因でOがdoする」という因果関係、評論文では無生物主語を伴い筆者の認識を表す表現になります。allowやmakeに相当する部分が許可・強制・所持など、原因と結果の関係性を決めます。
例えばallowは許可・可能化の意味を与え、My mother allowed me to play video games.であっても「お母さん(の許可)によってゲームで遊べた」という、主語が因果関係の原因に相当していることには変わりません。
難しく言いましたが、「意味上の主語・述語をもっと使いこなそう!」という視点で読んでいただければわかりやすいと思います。
It is often pointed out that
=しばしば指摘されていることであるが、
science and technology allow
=科学技術のおかげで(可能になっている)
students to obtaiin various kinds of information
=学生が様々な情報を入手する(ことができる)
very quickly
=とても速く、迅速に
ということになります。
例をもう少し。因果関係という視点に立って考えればSVOO, SVOM, SVOCの構文は全て同じです。
例えばgiveによって得られる因果関係は所持、つまりhave/getです。
He gave her a toy.(SVOO)
=Due to him, she got a toy.
第5文型のmakeはbe動詞、make O doであれば使役・強制です。使役動詞のdo以下は便宜上Mとします。
The news made me happy. (SVOC)
=Due to the news, I was happy.
Lisa made her son study hard. (SVOM)
=Due to Lisa, her son had to study hard.
that節を伴い副詞になる場合をもう1つ。
She says that he is handsome.
She says thatを副詞と考えます。
書いてある英文で何を伝えたいのか、という視点に立った時、意味上の主語・述語というのはとても大切な働きをします。上記のように考えるとどこが重要か、ポイントかがわかりやすいだけでなく、文と文の繋がり・論理の流れも掴みやすくなります。
このように読んでいくと、論理の流れがよくわかり文単位だけでなく文章全体の理解が深まります。これが基礎文法の知識に立脚した「文章を読むための構文」です。
こうした読み方、頭の使い方はたくさん練習しないと身につきません。しかし練習すればできるようになります。繰り返しになりますが、基本となるのは文法力です。
練習問題
以下の英文はTOEFL iBTのエッセイライティングで私が、
『今や未来の問題を解決するためには歴史から学ぶ必要があるか?』
というよくある問題に対してYESで答えたbody paragraphの2つ目です。
30分の時間制限で書いたので、このパラグラフ1つで7~8分くらいでしょうか。あまり複雑な文もなく長さもほどほどなので、構文を取る練習として掲載いたします。今まで読んできたことの実践として品詞分解をする、構造上の機能で構文をとる、意味上の機能で構文をとる、ということを試していただければと思います。
上記『That is a house whose roof is yellow.』の例文で説明しました通り構文の取り方は複数あるため、私から『これぞ正解!』と提示するのは避けることをご承知おきください。
Additionally, knowledge about the past or history can be used to solve present or future problems. We can refer to the past to discover methods that are new to us so that we can overcome seemingly insurmountable hardships that we often face. A good example is the origin of the European Union, or the EU. After the two world wars, European countries were fed up with the continuous hostility between their neighboring countries. From ancient times, allies or unions were utilized to achieve peace, and since European leaders were knowledgeable about history, they adopted the strategy of integrating European countries into one union, leading to the ECSC, the EEC, the EAEC, and then finally, the EU. Thanks to the EU, European countries have enjoyed decades of peace time without massive war.
まとめ
今回は英語学習で最も重要なものとして『文法』を挙げ、品詞分解と構文を取る(≒英文解釈)ことについて説明しました。
機能の面から英文を句・節の単位で捉えることで速やかに、正確に、深く理解することができるようになります。
意識して取り組んだとしても身に付けるにはある程度の期間が必要ですが、この考え方は4技能すべてにおいて実力を飛躍的に伸ばすことに役立つと信じています。
少し難しい話をしてしまいましたが、記事の内容が皆さまのお役に立てばこれほどうれしいことはありません。私もまだまだ精進してまいりますので、一緒に頑張っていきましょう!